株式会社横浜八景島様(上越市立水族博物館 うみがたり様)
新潟県上越市の水族館での謎解きイベント開催の事例。水族館という環境教育を兼ねる施設だからこそ、楽しく学べる仕掛けが必要と考える『うみがたり』様が、『クレヨンしんちゃん』とコラボした謎解きイベントを秋冬の目玉企画として開催することになった経緯を詳しくお伺いしました。
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「上越市立水族博物館 うみがたり」では、2024年10月から『クレヨンしんちゃん』とコラボした謎解きイベント「カスカベ防衛隊と人類おさかな計画の謎」が開催されています。国民的キャラクターのIPイベント開催における想いを企画担当の上野様にお伺いしました。
イベント公式サイト:https://real.uminazo.jp/shinchan/osakana-project/
―今回の企画の開催経緯を教えてください。
『うみがたり』上越市の施設であり、教育施設としての側面も持つため、イベント開催には学習的な要素も欠かせません。今回のイベントで目指すゴールは、海洋環境問題に絡めながら海の生きものの現状や、生きものの特徴を知ってもらうことです。それらの点において「謎解き」は、非常に相性のよいコンテンツだと感じました。
しかし、イベントを体験してもらうには、まずはお客様に足を運んでもらう必要があります。『うみがたり』は、マゼランペンギンの飼育数が100羽以上と日本一で、集客のポイントではあるのですが、生きものを打ち出すだけでは水族館が好きな人にしか届かないんです。そこで、謎解きに加えてキャラクターの力も借りることで、お客様の興味の入り口を広げたいと考えました。
今回依頼する際には、知名度のあるキャラクターとのコラボをなんとか実現していただきたい、というざっくりとしたお願いだけをさせていただきました。私たちも大型のIPとのコラボはなかなか大変だという認識はあったので、どんなキャラクターをご提案いただけるものかとドキドキしていたのですが、「クレヨンしんちゃん」とコラボができると聞いたときには非常に喜ばしく感じたのを覚えています。
―謎解きと大人気キャラクターとのコラボは期待値に対していかがでしたか?
キャラクターとコラボした謎解きイベントの企画は全国各地で増えていると思います。ただ「謎解き×キャラクター×水族館」という掛け合わせは、しんちゃんの版権元である双葉社さんも初めての形式だったそうです。私たちは、『うみがたり』としての要素が出せるかという不安があったのですが、『うみがたり』で人気の生きものたちをモチーフにした「カスカベ防衛隊」のイラストを描き下ろしていただくなど、しっかり私たちのオリジナルの要素も打ち出せたことに感激しました。これについても、今回のコラボが決まった時点で、すぐにTERRA NOVAさんの方からキャラクターのデザイン案をいただいたのですが、世間的にはあまりメジャーではないけれども当館として推したい生きものなどを、よく理解して選定とデザインをしていただけました。こちらが要望を伝える前に希望を汲み取ってスムーズに進めていただけるというのは、担当者としてとても安心感がありました。
また、今回の謎解きの内容は、少しボリュームが多くて難易度が高めなんです。謎解きが流行しているなかで、謎解きファンの方に満足いただけるだけでなく、年間パスポートを持っている方がもう一度来館して謎解きの続きに挑戦している姿も多く見られたことも嬉しいポイントでしたね。難易度が高かったり、ボリュームが多かったりすると途中で離脱してしまう方も多いのではないかと若干の懸念はあったのですが、実際には複数回来館して謎解きに再挑戦いただける方もいらっしゃったのは嬉しい誤算でした。滞在時間や来館回数の増加は、お土産の購入やカフェスペースの利用などが増える可能性があるので、水族館としてはとても価値があることだと感じています。
―クレヨンしんちゃんというキャラクターでの企画はいかがでしたか?
来館者アンケートでは、しんちゃんのイベントであることに魅力を感じている方が非常に多かったです。過去の謎解きイベントとも比較しても、参加率は4倍近くもアップしましたね。お客様だけではなく、職員の関心が高かったことも印象的でした。これもクレヨンしんちゃんという個性豊かなキャラクターたちだからこその反応だと思います。初日は、しんちゃんの着ぐるみのグリーティングも実施したのですが、複数回設けた撮影タイムでは常に行列ができていて、改めて人気の高さを目の当たりにしました。
―企画決定から開催までの準備はどれくらいの期間でしたか?
クレヨンしんちゃんとコラボしたイベントの実施は5月末くらいに決定したので、10月の開催初日まで約5ヶ月間でした。この短期間で無事に開催を迎えることができたのは、TERRA NOVAさんの担当者の柔軟な提案力、レスポンスの速さのおかげです。双葉社さんとTERRA NOVAさんの連携も見事で、監修などもスピーディーに進みました。むしろ、こちらの社内調整でお待たせしてしまうこともありました。予算面を考えても、例えばキャラクターボイスは無理だろうと思っていたのですが、双葉社さんと調整いただき、企画を他園館にも横展開していくという条件つきで実現できました。また、開催直前にパネル文章の修正が必要になるトラブルがあったのですが、その時もすぐにパネルを作り変えていただいて、不測の事態にも対応してくれました。もちろん準備期間だけでなく、イベント開始後も、アンケートフォームの作成や備品のフォローなど手厚く対応いただき、TERRA NOVAさんにお願いしてよかったと感じています。イベントの企画を考えていく中で「やっぱりこうしたい」となることも多々あるなか、ダメもとでも相談したら何とかしてくださる、というのは大きな信頼感につながっていると思います。
―今後に向けて取り組みたいことをお聞かせください。
『うみがたり』は、地元に根付く地方の水族館として、地域全体を盛り上げることも使命の一つだと考えています。そのためには、より多くのお客様に来てもらうことが必要です。とはいえ、夏以降はオフシーズンとなり、特に冬の上越エリアは積雪量が多く集客に限界を感じていた部分もありました。そのようななかでも足を運んでもらえるよう、今回のような魅力的なIPと謎解きによるイベントを継続することで、もっと『うみがたり』を知っていただきたいと思っています。今後も『うみがたり』では地域活性を図るとともに、海のこと、生きもののことを知るきっかけとなる教育施設としての役割も果たしていきたいです。
人気のキャラクターとコラボして、その施設ならではの要素を盛り込んだオリジナル作品を制作することで、謎解きファンとアニメ・漫画ファンの両方が楽しめる企画を実現。施設の集客力を大幅に増強するとともに、来訪者の満足度を高めることができました。
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